便利の落とし穴 小さな事件1

プロローグ

 

いつもの朝

今朝の出来事です。

いつもの時間に目覚ましを止める。

いつもの天気予報を聞き、いつもの身支度をする。

よく晴れたごく普通の朝でした。

そう、いつもの"ルーティーン"。

何でもない一日が始まる筈でした。

その時までは。

 

何か違う

いつもどおりに電車を降り、自動改札を抜けたときです。ふと違和感を覚えました。

ただ、それが何なのか、分からなかったのです。胸騒ぎがするわけでもなく、周囲がザワつくでもなく。

 

一瞬感じたモヤモヤは、すぐに意識から消えていきました。

 

ターミナルで乗り換え、次の電車に乗り込む。これもいつもどおり。

 

無意識のうちにクラッチを切り、ギアをローに入れる。アクセルに力を加えながら左足を引いてくる。シンクロしてブレーキレバーを下げる。

例えるならこんなところでしょうか。

 

これを一々考えながらすることは、むしろ不自然。

 

そんな感じの一連の流れ。

頭を使わずとも、覚えた体が自然に動く。

特別な事は何もないのです。なかった筈だったのです。一つを除いては。

 

モヤモヤの正体

再び改札を通過した際、答えがでました。違和感が何だったのか。

その答えに気付くのに1秒、いや2秒ほど掛かったと思います。

 

正月からついてない

自動改札のデジタル表示に、チャージからの引落額が表示されていたのです。

そう、定期券が切れていたのです。そして、チャージ金を使って改札を通過していたのです。

 

便利が逆に仇となる

今の定期券になる前でしたら、改札機に通した時点でゲートが開かず気付いていたでしょう。

「おっと」と言いながら後ろの人に会釈して、定期券売り場に向かえば解決した話しです。

更に昔に遡れば、顔を知ったいつもの駅員さんが、「帰りに買えばいいですよ」と言って、切れた定期券で乗車させてくれることもあったでしょう。

 

事件の被害

今乗って来た2つの路線の乗車運賃。

事前に定期券を更新していれば、必要のなかった出費です。

 

誰が悪い? 自分のせい?

「すぐに今日からの定期券を買うから今の乗車運賃分、返してくれー!」

と叫びたい気持ちをグッと抑えてうなだれる自分。

そう、悪いのは自分なんです。

定期券の更新は、2週間も前から出来るのです。

券売機に行き、粛々と今日からの定期券を購入しました。

 

転んでもタダでは起きない

今回の事件では、千円弱の実害が出ました。これはもう、どうやっても取り返せません。では、この支出をムダにしないためにはどうしたらいいか。この苦い経験を生かすにはどうすべきか。その先の道すがら考えました。

 

原因1

注意力散漫、無関心

定期券には券面に有効期限がデカデカと印字されています。

また、自動改札を通過する際の音で、定期券通過かチャージ通過か判断出来た筈なのです。

皆さんご存知のように、定期券通過のときは「ピッ」、チャージ通過のときは「ピピッ」。通過不可のときは「ピー」。

身の回りの情報を上手く利用出来ていなかったのです。

ちなみに、SuicaやPASMOは申し出ることにより、定期券期限14日前のときや、チャージが千円以下になったときに、別の音で知らせてくれる機能を追加できます。

 

原因2

後回し。

これです。

これこそが真の原因、最大の問題点だったのです。

今までの自分を振り返りました。

何をするにも、後回し。

まだ先のこと、時間はある、明日やればいいや。

 

魅惑的で危険な日「あした」

明日と言う日は毎日存在します。

明日になればまた新しい明日が産まれるのです。

最期の日を迎えるその時までは、毎日貰える不思議な時間、あした。

 

自分はどうやら、「あした」の使い方を誤っていたのです。

 

つづく