今日は手形の復習です。第四回から3回にわたって学習してきました約束手形。手形の取引で新たに登場する勘定科目は3つだけでしたね。受取手形、支払手形、手形売却損。3級の手形の問題では、この3つの勘定科目をしっかり使えるようになっていればバッチリです。
みなさんこんにちは、プロフェッサー夏亀です。調子はどうですか?
それでは早速始めましょう。
1.A商店はB商店から販売目的の自動車を1,000,000円で仕入れ、支払いには約束手形を振出した。
販売目的の自動車は商品です。A商店は自動車販売業者と推測してください。でもこの推測は解答には大して必要ではありません(^^)
A商店の仕訳は商品の仕入れと、手形代金の支払い義務の増加です。
借(仕入)1,000,000 貸(支払手形)1,000,000
費用の発生と負債の増加
B商店の仕訳は手形代金を払ってねと言う権利の増加と売上げの発生です。
借(受取手形)1,000,000 貸(売上)1,000,000
資産の増加と収益の発生
上記の仕訳に登場した支払手形勘定は、後で「手形代金を支払う」義務であり、決して「手形で支払ったから」ではありません。
同様に受取手形勘定は、「手形代金を払ってね」と言う権利であり、決して「手形で受取った」からではありません。
2.B商店はC商店から商品1,000,000円分を仕入れ、支払いにはかねて受取っていたA商店振出の約束手形を裏書して渡した。
B商店の仕訳は、借方は仕入。これはもう即答ですね。問題は貸方ですが、手形を渡しています。しかし、手形代金の支払い義務は増加していません。なぜならば、手形代金を支払うのは、その手形を振出したA商店だからです。B商店は手形代金を払ってねと言う権利を手放した、つまり、払ってねと言う権利がB商店からC商店に移動したわけです。払ってねと言う権利の減少です。
借(仕入)1,000,000 貸(受取手形)1,000,000
費用の発生と資産の減少
C商店の仕訳は、貸方は売上。これは即答です。問題の借方ですが、実はあまり難しくはありません。誰が振り出した約束手形でも、たとえそれが裏書された手形であっても、手形代金を払ってねと言う権利が増加すれば借方は受取手形です。
借(受取手形)1,000,000 貸(売上)1,000,000
資産の増加と収益の発生
B商店の仕訳をみてください。代金を手形で支払っておりますが貸方は支払手形勘定ではありません。これは、手形代金を支払う義務が増加していないからです。裏書したことによって、A商店に対しての「手形代金を払ってね」という権利が減少したために、受取手形勘定が貸方にきます。
3.C商店は現金が必要となり、かねてB商店から受取っていたA商店振出の約束手形を銀行で割引き、割引料5,000円を差引かれ残額が当座預金口座に振込まれた。
貸方は受取手形で決まりですね。「手形代金を払ってね」と言う権利を放棄して今、現金化しました。資産の減少です。そして、現金化したその現金は当座預金口座に振込まれたのですから、借方は資産の増加です。忘れていけませんのは、費用が発生しています。
借(手形売却損)5,000 貸(受取手形)1,000,000
借(当座預金)995,000
約束の日、つまり支払期日より早く現金を手にするわけですので、その期間の利息的な意味で銀行に割引料を支払います。かつては支払利息割引料勘定を使いましたが、最近の試験では手形売却損勘定を使うようです。
4.A商店は、かねて振出していた約束手形1,000,000円の支払期日が到来し、手形代金が当座預金口座より引落された旨の通知を受けた。
手形代金が決済されたことにより、もう支払い義務がなくなりました。借方は負債の減少です。
借(支払手形)1,000,000 貸(当座預金)1,000,000
負債の減少と資産の減少
ちなみにですが、A商店から約束手形を受け取ったB商店は裏書してしまっていますので手形代金を払ってねと言う権利はすでに持っていません。そのB商店から裏書されたC商店は割引してしまっていますので、こちらもすでに手形代金を払ってねと言う権利を持っていません。ゆえに、B商店、C商店ともにこの支払期日に対する仕訳はありません。もし仮に、裏書または割引をせずにいましたら、次の仕訳が必要になります。
借(当座預金)1,000,000 貸(受取手形)1,000,000
資産の増加と資産の減少
まとめ
受取手形と言う勘定科目はありません。
受取手形勘定は手形を受取ったという意味ではありません。権利です。
支払手形勘定は手形で支払ったという意味ではありません。義務です。
では、今日はこれまで。
See you!