おもたせはおかしい
皆さんもきっと気になっていることと思いますが、身の回りには、変な日本語がたくさん出回っていますね。
例えば「おもたせ」。この「おもたせ」自体は、確かに日本語として存在するのですが、使い方に???が付くことがあります。
「お土産」とか「手土産」と言えば済むものを、わざわざ540度逆の意味の言葉、「おもたせ」を使う方。
飲食店で「おあいそ!」と言う方をたまーに見かけますが、同じ感覚なんでしょうか。いつかはそれが正しい使い方になってしまうのでしょうが、何となくキモチワルイ…。
そんなのを幾つか紹介します。
(正しい表現か否かの判断は、学者先生、文科省のお役人様にお任せします。)
意味が違います
おもたせ
冒頭でも話題にしましたが、他人のお宅に訪問する際に、手土産を持参することはよくある話しです。
その手土産を貰った側、つまり訪問を受けた側が、敬ってその手土産のことを言う言葉です。
例えば、手土産で高価なケーキをいただいたので、上等な紅茶を煎れ、そして、「おもたせですが」と言って、一緒にお出しする。
使う場面はこんな感じです。
百貨店で上品なご婦人が、「おもたせに使いたいので…」などと販売員に相談しているのが聞こえると、何だか残念な気持ちになります。
て・み・や・げ・だ・ろ・ー
可能性
「失敗する可能性」って、何なのって思います。「大地震がおこる可能性」とか、「全滅の可能性」とか、「感染の可能性」とか。
「可能」と聞くと、「出来る」ってイメージが真っ先に思い浮かびますので。
でも、辞書を引くと、あながち間違いでもなさそうで。
それでも自分では、使いたくはないですね。
危険性、恐れ、確率、疑いなんて言葉がありますから、そちらを使います。
触り(さわり)
「あれ、どんな歌だったっけ?さわりの部分、聞かせて。」なんて会話、日常でもありますね。
このさわり、何となくその、さわり、と言う言葉のイメージから、歌い出しだと思っている方が多いんです。
違います、「聞かせどころ」が正解です。一番盛り上がるところ、です。
情けは人のためならず
「本人のためにならないから、放っておいたほうがいいよ」ってことではないんです。
今ここで情けを掛けておけば、巡り巡って自分に返ってくる。つまり、人のためではなく、自分のためということです。
煮詰まる
「議論が煮詰まってしまったようですから、少し休憩しましょう。」
えっ、ちょっと待ってください。せっかく煮詰まったのでしたら、一気に結論を出してしまいましょうよ。冷めないうちに。
気分転換が必要なのは、行き詰まった時でしょ。
失笑する
我慢できずに思わず吹き出してしまうことは、誰にでもあります。お偉いさんの真面目なお話しの最中なんかですと、バツが悪いですね。笑ってはいけないと思うと、余計に吹いてしまいます。
「もなか」を「さいちゅう」なんて真顔で読まれたら、確かに失笑してしまいます。
笑いを失うわけではありません。
思わず吹き出してしまう。そんな様子のことです。
豹変
「酔って豹変した」とか、「気に障るとすぐ豹変する」とか。
一般的には、人が悪いほうへ変わることを表すときに使われますが、本当にそうでしょうか。
豹は、毛が生え替わる(抜け替わる)と、模様がはっきりして、とても美しくなるそうです。
本来は、良いほうへの変化の際に使われた言葉です。
君子豹変。
世間知らずの若社長が、立派に成長した。そんな場面でしょうか。
役不足
「こんな大きな仕事、とてもとても、私にはできそうにありません。私では役不足です。」
いえいえ、不足しているのはあなたの力、決して役ではありません。
役不足は能力の高い方に使う言葉です。
大きな仕事ができないのは、能力が低いから、つまり力不足だからです。
敷居が高い
「高そうなお店ね。私達には敷居が高いわ。」
あなた、こちらの料亭のお孫さんか何かですか?
親父と喧嘩して家を飛び出して、早10年。おふくろ、元気にしてるかな?会いたいな~。でもな~、合わせる顔がないな~。帰りづらいな~。
って時に使います。
ほとんどの方は、一生のうちで使うことのないセリフです。
自分の身なりや懐具合から、入りづらいお店は、敷居が高いのではなく、格式が高いのです。
今の自分では無理かなと思うのは、敷居ではなくハードルが高いのです。
本当にクラスが高いお店はみな、バリアフリーになっています。敷居が高くては…危ないですね。
こちらは読み違い
市民権を得てしまっているものもあるようですが。
一段落(いちだんらく)
みんな階段の最初の一歩は、一段目と言えるのに…。
一区切りは、ひとくぎりで正解です。
一矢を報いる(いっしをむくいる)
いちやを報いないでくださいね。思い出したくない一夜でもありましたか?
競売(きょうばい)
けいばいは、一般的ではありませんが、あながち間違いでもなさそうです。過去に競売法という法律が有りましたので、法律家の間では、主にけいばいが使われているようです。
ちょっと気取って聞こえるのは、私だけでしょうか。
早急(さっきゅう)
そうきゅうだと、あまり急いでなさそうですね。
さっさとやってしまいましょう。
十中八九(じっちゅうはっく)
十はじゅうで、じゅっとは読みません。でも、じっとは読みます。
十回、十分、十匹、10本、10ヶ所、10歳などなど、全て「じっ」です。
じっかい、じっぷん、じっぴき、じっぽん、じっかしょ、じっさい。
続柄(つづきがら)
ぞくがらと言われても、意味は分かりますから別に構いませんが…。
役所の職員が、ぞくがらと言うのを聞く度に、その職員の上司に支払われている給料は、税金の無駄遣いだといつも思います。
肉汁(にくじゅう)
じゅうじゅうジューシーなステーキ、ハンバーグ、想像してみてください。あー、お腹が空いてきた!
にくじるだと、あんまり美味しくなさそうです。
因みに、豚汁はとんじるで美味しそう。
他人事(ひとごと)
たにんごとではありません。あなたは大丈夫ですか。
因みに表記も、ひとごと、ひと事、人ごと、人事が正解。
的を射る(まとをいる)
的を得(え)てはいけません。それでは的ドロボーです。的は射(い)てください。
慎重に弓を構える。落ち着いて狙いを定める。そして矢を放つ。
的の真ん中を射抜きます。
最後は、言葉自体が正しくないものです
バスジャック
飛行機の事件の時はきちんとハイジャックと言えるのに、バスになるとバスジャック。なぜ??
船の時には船ジャックかしら。
そう言えば、電波ジャックなんて聞いたこともあります。
正しくは、バスがハイジャックされる、や、バスが乗っ取られる、ですが勿論、
使いたくない言葉です。
気がついたことがあれば更新します。
宜しくお願いします。